薬剤部
治験 Q&A 用語解説
Q&A
治験に参加することで、どのような利益、不利益がありますか?
一般に、治験に参加することで考えられる患者さんの利益としては、次のことが挙げられます。
- 従来にない、効果の優れた新薬を使用していただける可能性
- 副作用の少ない薬を使用していただける可能性
- 通常診療に加え、治験のための追加の診療や検査を受けていただける可能性
- 治療費の一部が治験実施者負担となり、患者さんの経済的負担が一部軽減される可能性
- 新薬が実用化され、多くの患者さんに使われるための過程に協力していただける可能性
一般に、治験に参加することで考えられる患者さんの不利益としては、次のことが 挙げられます。
- 治験実施前までの段階ではわからなかった、全く予想外の副作用が発生する可能性
- 通常診療と比較して、より多くの通院や検査の必要性が生じる可能性
- 期待していた通りの治療上の利益が得られない可能性
治験へ参加する場合、医療費の負担はどうなりますか?
参加された患者さんに受けていただく検査や治療には、ご病気の治療のために本来必要とされるものと、治験や研究のために特別に行うものの2種類があります。
通常診療の場合と同様に、所定のご負担を患者さんにお願いする場合が多くなっています。
しかし、治験については依頼者が一部の費用を負担する場合もあります。
詳しくは、担当のスタッフ(医師、看護師、薬剤師、コーディネーター)へご確認ください。
他の病院にも通院していますが、大丈夫ですか?
病気の種類や症状によっては参加できないことがありますので、他の病院に通院していることを必ずお伝えください。
治験中、いつもと違う症状が出たらどうすればいいですか?
治験中に行う検査・診察で、副作用や病気の状態を確認しています。
ご自身でいつもと違う、おかしいと感じられたときにはすぐに担当医師やCRCにご連絡ください。
治験中に注意することがありますか?
治験中は受診日や検査日、また、「くすり」を使用する時間や回数、スケジュールも決められています。
服薬日日誌などの記録をつけていただくこともあります。
また、治験の目的や病気の種類によっては、食事・運動などに注意が必要になる場合があります。
治験を途中でやめることができますか?
本人の意思でいつでも中止することができます。
途中でやめたいと思ったときはお知らせください。
用語解説
インフォームド・コンセント
患者さんにご協力をお願いしたい臨床研究について、その目的や実施内容、予測される患者さんへの利益と不利益などの重要事項を説明し、すべての質問にお答えした後に、患者さんご本人がよく理解し納得された上で、ご自身の自由な意思に基づいて研究参加に同意していただくことをいいます。
同意書
治験に参加してもらうにあたり、必ず自由な意思に基づいた患者さんのサインをいただくことが義務づけられています。
同意撤回の自由
患者さんが臨床研究への参加に一度同意された後でも、何らかの事情で参加を取りやめたい場合には、試験開始の前か後かを問わず、また患者さん本人に何らかの不利益もなく、いつでも同意を撤回して研究への参加を中止できる、という意味です。
プラセボ
「プラセボ」とは、見かけや重さ、包装などが新薬候補と全く同じですが、薬としての成分を含まないものをいいます。有効な治療法がまだ存在しない病気に対する、新薬候補の治療効果と副作用を確かめる臨床試験で比較対象として用います。
無作為割り付け
臨床試験は病気を予防・診断・治療する複数の方法について、その優劣を比較することを目的として行われます。
「無作為割り付け」とは、それらのどの方法を経験していただくかを決める手段として、担当医や患者さんの判断ではなく、公正中立な第3者による、特定の意図によらない無作為な方法によって決めることをいいます。
この方法は、科学性を保ち、研究の成果を広く一般の医療に生かすことのできる正しい医学的知識につなげるために、とても大切な方法です。
医薬品の臨床試験の実施基準(GCP:Good Clinical Practice)
治験がより科学的に、より倫理的に行われるための基準で、すべての治験がこの基準に沿って行われているかどうか、厳しくチェックされます。試験に参加する患者さんの人権、安全性ならびにプライバシーと秘密の保全が最も重要で、最大の配慮がなされなければいけないと規定されています。
臨床研究コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)
円滑に治験が行われるよう、患者さん、医師、製薬会社の間に立って調整し、医学的判断を伴わない各種業務全般に携わります。また、患者さんのスケジュール管理やケア、相談など、患者さんが安心して治験を受けるための対応をしています。