CANCER当院におけるがん診療の取組みについて

内視鏡手術、手術治療について

内視鏡治療による治療困難例への取り組み

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(以下ESD:Endoscopic submucosal dissection)は消化管の早期癌に対して、お腹を開けずに腫瘍を切除する画期的治療法として開発されました。リンパ節転移の可能性のきわめて低い粘膜内にとどまる癌を対象にしています。高周波ナイフを使って癌の周りの粘膜を切開し、癌よりも下の粘膜下層のレベルで病変を剥がし取る手技です。消化管の癌を治療するなかで最も体に負担のかからない治療として胃においては2006年、食道では2008年、大腸では2012年それぞれ保険適応となり発達、普及してきました。当院でも早くからESDを導入し、これまでに1000例以上に行い、良好な治療成績をおさめています。

難易度の高い治療への対応

図1.繊維化を伴う大腸腫瘍

消化管の壁は非常に薄くさらにその一部である粘膜下層を、高周波ナイフで薄く剥いでいく内視鏡操作は、慎重で確実な技術が要求されます。また病変の部位や大きさによってはさらに難易度が高くなり、出血や穿孔などの合併症(偶発症)を招く危険性が高くなります。難易度が高い病変の例を挙げると線維化が強い病変(図1)、食道や胃の全周性病変(図2)、内視鏡治療や放射線治療の既往がある方の病変などがあります。当院ではこれらの病変に対しても精密な術前検査を行い、内視鏡治療で根治が得られる可能性があれば積極的にESDを行っています。このような病変のESDを行う際には偶発症に備え、外科へのバックアップ依頼もあらかじめ行っています。

図2.全周性の食道がん

全身麻酔下で行うESD

長時間の治療が予想される場合や偶発症が重篤な状態に直結する食道の病変においては麻酔科の協力のもと、全身麻酔下でのESD(手術室内)を行っています。治療中は麻酔科の医師が全身管理を行うため術者は手技に専念でき、より安全に治療を行うことができます。

質の高い医療を提供するために

ESDを行うにあたっては内視鏡技術のみならず状況に応じた柔軟な判断が要求されます。またチームとして治療に取り組む姿勢が重要です。質の高い医療を実践するためにスタッフ一同、日々努力を積み重ねています。

公益社団法人鹿児島共済会 南風病院