緩和ケア内科

はじめに

緩和ケアはがんだけではなく生命を脅かす病を患った患者さんとそのご家族の痛みやその他の身体的・社会的・スピリチュアルな問題にできる限り迅速に対応し、その苦痛を予防し、和らげ、生活の質を向上させるアプローチです。
緩和ケアを終末期医療や看取りのケアだと思っていませんか?
緩和ケアはがんと診断されたときからはじまっています。患者さんやご家族のつらさに寄り添い、治療を、その方たちの人生を支えていく医療です。
患者さんはそれぞれに身体の痛みや苦しさだけでなくときに不安や焦燥感に駈られます。身体だけでなく心が苦しくなることはありませんか?
また患者さんを見守り、支えるご家族もつらく苦しい気持ちになっていませんか?
私たちは患者さんだけでなく患者さんを大切に思う周囲の方々もまた緩和ケアを受ける対象だと考えています。
その苦しさを、そのつらさを一人で抱えずに私たちに語ってみませんか?
そんな思いから当院の緩和ケア内科ははじまっています。

診療体制

緩和ケア内科は専従医師、兼任医師、緩和ケア認定看護師、緩和ケア認定薬剤師、医療ソーシャルワーカー、栄養士など多職種で構成されています。緩和ケア外来(完全予約制)、緩和ケア病棟(14床)、緩和ケアチームの3つの分野で活動を展開しています。

緩和ケア外来

毎週月・金曜日に完全予約制で診察を行っています。がん治療をしている、していないに関わらず緩和ケアを必要とする患者さんとその家族が通院しています。当院の患者さんだけでなく他院より紹介された患者さんも通院しています。

緩和ケア病棟

当院、他院、がんの種類に関わらず緩和ケアが必要ながん患者さんとその家族の方に面談し緩和ケア病棟に入棟する意思を確認したうえで入棟審査を行い、入棟していただきます。
病床数は、男性大部屋(4床)、女性大部屋(4床)、個室(6床)の計14床です。
医師が病棟に専従し診察しています。病棟スタッフと毎日カンファレンスを重ねながら患者さんそれぞれに必要なケアを検討し提供することを心がけています。
疼痛・呼吸困難などの症状コントロールを行い、患者さん本人・家族の気持ちを伺いながら、病床生活をサポートしています。また自宅退院、在宅への移行を希望される患者さんには安全に安心して自宅で生活できるように多職種で迅速に準備をしていきます。
患者さんそれぞれの抱える問題、思いに対して多職種で毎週カンファレンスを実施し、協働して患者さんの生活の質の向上に努めています。

緩和ケアチーム

院内のコンサルテーションに対応するためのチームです。一般病棟の患者さんのために活動しています。
身体症状担当医師、精神症状担当医師、緩和ケア認定看護師、緩和ケア認定薬剤師、栄養士、リハビリテーションスタッフ、医療ソーシャルワーカーで構成されています。
症状コントロールをはじめ患者さんの意思決定支援もサポートしています。

終わりに

2013年9月に当院緩和ケア内科は14床の緩和ケア病棟開設とともに始まりました。
開設当初は「緩和ケアは最期に行くところだ。」と患者さんやそのご家族に言われることも多々ありました。「主治医に見放された。」と嘆く患者さんもおられました。しかし10年のときを経てその役割は少しずつ変わってきています。患者さんはその意思で主治医とともに最善の治療方針を探し決定していくことができるようになりました。緩和ケア病棟にはレスパイト(一時的な休息のための)入院や症状コントロールのために入院する方も増えています。また緩和ケア外来では「一緒に化学療法を支援してもらいたい。」「できるだけ自宅で過ごしたいので症状コントロールをしてもらいたい。」など患者さんとご家族が選んだ方針で生きる時間を支えるという役割を担うようになってきています。
あなたの人生をご家族、ご友人と同じように緩和ケアに携わる私たちも寄り添って支えさせていただけないでしょうか?

ドクターリスト

 

科長
加藤 博美
Hiromi Katou

専門分野:臨床麻酔

所属学会日本麻酔科学会
日本産婦人科学会
日本緩和医療学会
認定医・専門医麻酔科標榜医
日本麻酔科学会麻酔科認定医
日本専門医機構認定麻酔科専門医
日本緩和医療学会緩和医療認定医
日本医師会認定産業医

研究業績

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公益社団法人鹿児島共済会 南風病院