外科・消化器外科

診療体制

 当院は鹿児島県から、がん診療指定病院・地域医療支援病院・へき地医療拠点病院の指定を受けています。また、救急指定病院として離島を含む県内各地より年間約1500件の救急車搬入の患者を収容しています。
 外科7名・呼吸器外科1名の医師により消化器・呼吸器外科疾患を中心に外来・入院・手術等の治療に対応し、救急患者は24時間受け入れ可能な体制をとっています。
 外来は予約診療となっていますが、紹介状持参の患者さまは優先的に診察しています。消化器癌についてのセカンドオピニオン外来も予約制で実施しています。
 当院は臨床研修指定病院となっております。そのため、卒後初期臨床研修医の外科研修中は外科チームの一員として待遇し、臨床研修の充実を図り将来の外科医誕生を期待しています。
 がん診療指定病院としてがん診療体制の充実を関連診療科で推進しています。初診のがん患者は院内のがん登録委員会により国立がんセンターに全て登録され、治療(手術、化学療法、内視鏡的治療等)後の予後調査を5年間継続実施し全国のがん治療5年生存率の公表に貢献しています。
 難度の高い消化器がん手術には院外の専門医の支援を受けています。
 がん治療に対して歯科が関与した口腔管理によりがん患者の口腔衛生状態を向上し、がん治療における合併症を予防・軽減しがん患者が安心して治療を受けることができる医科歯科地域医療連携を推進しています。

治療方針

 鏡視下手術(腹腔鏡・胸腔鏡)を積極的に取り入れ、2016年1月からはロボット支援下(da Vinci Xi )手術も採用し、患者さまにとって最小限の手術侵襲で、早期の社会復帰が可能となるよう努力しています。日本内視鏡外科学会の技術認定医がおり、鏡視下手術の教育・指導ができる施設となっています。
 がん専門病院として、初回がん治療患者の全国がん登録を着実に行い、各学会のがん予後調査にも積極的に協力しています。当院でのがん治療方針は臨床カンファレンスで学会のガイドラインに準じ、外科手術、化学療法のどちらかを優先するか決めています。また、放射線治療の適応のある患者さまは他施設に紹介しています。
 化学療法は外来化学療法を推進し、質向上のための総合的な取り組みとして、治療中の副作用対策のために、薬剤師による服薬指導の徹底、積極的な管理栄養士による栄養指導の提供を行っています。また、入院中の患者さまには、在宅復帰にむけた理学療法士によるリハビリテーションも行っています。
 急性腹症には24時間体制で対応し、手術の適応があれば、時間外(深夜でも)手術を行い、地域医療支援病院としての役目を果たしています。
 術後感染予防(手術室での手指消毒法・術後処置法・抗生剤投与方法)にも積極的に取り組み、感染管理認定看護師・薬剤師と協力して院内感染防止にも努めています。
 その他、病診連携も取り組んでおり、鹿児島県が推進している私の手帳(がん診療連携パス)の発行や、がんゲノム医療も積極的にすすめており、希望される患者さまには鹿児島大学病院のがん遺伝子外来を紹介しています。

院内カンファレンス

 毎週水曜日の夕方(17:30)に消化器疾患のカンファレンスがあり、外科・消化器内科・肝臓内科・放射線科・麻酔科の医師、放射線技師、超音波検査技師、診療支援のスタッフ等により治療方針を決めています。呼吸器外科は呼吸器内科と定期的にカンファレンスを行っています。更に、月一回のキャンサーボードが開催され、緩和医療を含めた治療方針が検討されています。
 また、毎週金曜日の早朝(7:30)には癌化学療法について癌診療各科医師(がん薬物療法専門医2名含む)・薬剤師(がん薬物療法認定薬剤師2名含む)・看護師(がん化学療法看護認定看護師2名含む)等の合議で化学療法施行の適否、抗癌剤の種類・投与量、副作用対策などが決められています。

院内カンファレンス

得意分野

 消化器特に消化管疾患に対する外科治療が中心です。腹部では腹腔鏡下手術が第一選択になってきています。胃癌、結腸・直腸癌の約70%が腹腔鏡下手術となっており、胆石・胆のう炎、虫垂炎、鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、術後腸管癒着障害のほとんどが鏡視下手術です。肺癌手術も胸腔鏡補助下手術となっています。2018年4月の診療報酬改定によりロボット支援外科手術が保険収載され、消化器がん手術の一部が適応となりました。当院では2016年1月よりダヴィンチXiを導入し、ロボット支援による腹腔鏡下胃切除術154例、直腸切除173例を2022年12月までに実施してきています。約7年半の間に、外科・麻酔科・臨床工学科・手術室スタッフ等からなるチームワーク体制が確立し、ダヴィンチ手術は順調に運営されています。
 この手術に対する厚生労働省の施設基準は緩和され、全国的には消化器癌に対するロボット支援下手術が徐々に普及してきています。がん手術においては、ロボット活用による安全性の高い、低侵襲で、術後合併症を少なくする精緻な手術が期待されています。この手術の保険診療が可能となり、胃癌・直腸癌手術の増加に対応できる外科体制となっています。また、当院では、呼吸器外科においてもロボット支援下肺癌手術が近い将来に導入されると思います。

学会認定施設

  • 日本外科学会外科専門医修練施設
  • 日本消化器外科学会消化器外科専門医修練施設
  • 日本胸部外科学会指定関連施設
  • 日本がん治療認定医機構認定研修施設
  • 日本呼吸器外科学会関連施設

手術支援ロボット da Vinci Xiの導入

 2016年1月に当院が導入した「Xi」は第四世代の機種であることから、安全性の高い手術支援ロボットです。da Vinci Xiはサージョンコンソール、ペイシェントカートおよびビジョンカートの3つの装置によって構成されています。サージョンコンソールは術者が直接操作を行う機器であり、手術室では不潔領域に配置されるため術者は手洗いが不要となっています。実際に手術を行うのはペイシェントカートであり、サージョンコンソールからの指令は遠隔操作を介してペイシェントカートに忠実に伝わり、ロボットアームが術者の操作と共に動き、アームに固定されている多関節機能を有しているEndo Wristインストゥルメントを持つ鉗子が術者の思う通りに機能を発揮する仕組みとなっています。da Vinci Xiには装着アームが4本あり、カメラの装置は固定されることなく自由に鉗子ポートを移動でき、以前に比べ手術視野の確保が容易になっています。カメラ装着以外の3本のアームにはda Vinci Xi用の多関節機能(Endo Wrist)を持つ鉗子が装着されます。これは高性能で自由度の高い鉗子であり、剥離鉗子、把持鉗子、尖刀、電気メス、持針器、止血クリップ器、縫合器などいろいろなタイプの鉗子が用意されています。ビジョンカートは画像処理器などを搭載しており、サージョンコンソールを操作している術者およびペイシェントカートに従事している外科スタッフ、さらに手術室にいる他のスタッフに3次元画像を提供し、拡大視された手術視野の下に安全かつ精緻な手術操作のできる仕組みになっています。また、da Vinci Xiには術者の手の震えを除去できる手ブレ防止機能が備えられており、リンパ節郭清時の血管・神経、他臓器損傷を最小限に抑えてくれます。

da Vinci Xi サージカルシステム 機器構成

遠隔操作

術者の手元

ドクターリスト

 


末永 豊邦
Toyokuni Suenaga

専門分野:外科・消化器外科

所属学会 日本外科学会
日本消化器外科学会
日本癌治療学会
日本胸部外科学会
日本胃癌学会
日本臨床外科学科
日本救急医学会
日本臨床腫瘍学会
日本消化器内視鏡学会
日本食道学会
日本緩和医療学会
日本大腸肛門病学会
日本内視鏡外科学会
日本ロボット外科学会
認定医・専門医 日本消化器外科学会指導医
日本消化器外科学会消化器外科専門医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本外科学会指導医
日本外科学会外科専門医
日本胸部外科学会指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医

 

主任部長
北薗 正樹
Masaki Kitazono

専門分野:一般外科・消化器外科・内視鏡外科・大腸・肛門・骨盤外科

所属学会日本外科学会
日本消化器外科学会
アメリカ癌学会
日本大腸肛門病学会
日本内視鏡外科学会
日本臨床腫瘍学会
日本癌治療学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本臨床外科学会
日本癌学会
日本ロボット外科学会
認定医・専門医日本外科学会認定医
日本外科学会外科専門医
日本外科学会指導医
日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医
日本大腸肛門病学会指導医
日本消化器外科学会消化器外科専門医
日本消化器外科学会指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会技術認定証(消化器・一般外科)
日本ロボット外科学会 Robo-Doc Pilot 国際B級
日本ロボット外科学会 Robo-Doc Pilot 国内A級
日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター(消化器・一般外科)/胃・直腸領域
評議員その他日本大腸肛門病学会九州支部評議員
日本内視鏡外科学会評議員(2021、2022、2023年度)
上村 真弓

江口 真弓
Mayumi Eguchi

専門分野:一般外科・消化器外科・内視鏡外科

所属学会日本外科学会
日本消化器外科学会
日本臨床外科学会
日本内視鏡外科学会
日本大腸肛門病学会
日本肝胆膵外科学会
腹部救急医学会
認定医・専門医日本外科学会外科専門医
Certificate of da Vinci System Training As a First Assistant
池田 直隆

医長
池田 直隆
Naotaka Ikeda

専門分野:一般外科・消化器外科・内視鏡外科

所属学会日本外科学会
日本消化器外科学会
日本臨床外科学会
日本内視鏡外科学会
腹部救急医学会
認定医・専門医日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会消化器外科専門医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
Certificate of da Vinci System Training As a First Assistant

 

近藤 翔平
Shohei Kondoh

専門分野:消化器外科

所属学会日本外科学会
日本消化器外科学会
日本大腸肛門病学会
日本内視鏡外科学会
日本臨床外科学会
認定医・専門医日本外科学会外科専門医
Certificate of da Vinci System Training As a First Assistant
曽原 純

 

曽原 純
Jun Sohara

専門分野:消化器外科

所属学会日本外科学会
日本消化器外科学会
認定医・専門医     

外来診察担当表

外来診察担当表は下記よりダウンロードしご確認下さい。
外来診察担当表のダウンロードはこちら[PDF]

対象疾患

悪性疾患

食道癌・胃癌・大腸(結腸・直腸)癌・肝癌・胆膵癌・肺癌・甲状腺癌・乳癌 等

良性疾患

胆石・イレウス・虫垂炎・穿孔性腹膜炎・ヘルニア・虚血性腸疾患 等

当院でおこなっている医療

 2007年11月1日に、日本がん治療認定機構より認定研修施設へ認定され、当院での勤務歴があれば将来がん治療医の認定試験を受ける資格が取れることになっています。全国規模あるいは九州地区での癌臨床試験にも積極的に参加登録しています。臨床試験の案件は院内の臨床試験倫理委員会にて承認を受けてから登録しています。2008年1月より外来癌化学療法室が開設し(現在17床)、癌化学療法は入院治療から徐々に外来化学療法へ移行してきており患者さまにとって日常生活のQOLを保ちながら治療を受けることが可能になってきました。鏡視下手術を推進し、内視鏡外科学会の技術認定医を多く誕生させ、最先端医療であるロボット支援による腹腔鏡手術(胃癌・直腸癌)の国内普及に貢献します。

手術件数(2022.1.1~2022.12.31)について

総数:913件のうち
全麻:886件(悪性疾患 358、良性疾患528)
腰局麻:27件
 手術内容の特色としては、最先端医療であるロボット支援による腹腔鏡下手術(胃切除、直腸切除)が2016年1月に開始され2022年12月までに327例(胃癌154例、直腸癌173例)を経験しています。診療報酬改定によりロボット外科手術が保険収載され、手術希望患者が増加してきています。
 また、当院消化器内科では膵癌プロジェクトチームを発足させ、早期膵癌発見のため精力的に検査・診断を行っています。そのおかげで徐々に比較的早期の膵癌症例が増加してきており、2022年の膵切除は39例でした。下部胆管癌・十二指腸癌・膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除は20例、膵全摘は2例です。
 2019年より腹腔鏡下膵頭十二指腸切除の認定施設になっています。

外科手術件数

悪性疾患の内訳(2022年)

食道癌 3(胸腔鏡3)、胃癌 54(腹腔鏡 37)、胃GIST 10(腹腔鏡 10)、結腸癌 92(腹腔鏡 83)、直腸癌 54(腹腔鏡 51)、十二指腸癌2、小腸癌4、肝癌 22(原発 14、転移 8)(腹腔鏡16)、胆嚢癌・胆管癌 10、膵癌 41、原因不明癌 1、腹膜播種・リンパ節転移再発 9

良性疾患の内訳(2022年)

胆石・胆のう炎・ポリープ  164、ソケイ・大腿ヘルニア  120、腹壁瘢痕ヘルニア 13、
臍ヘルニア 6、閉鎖孔ヘルニア 1、虫垂炎 84、イレウス 45、消化管穿孔 28、肝のう胞・血管腫 5、痔疾患 2、小腸大腸良性 16、人工肛門閉鎖 11、腹膜透析 6、再手術 10、その他 5

 良性疾患のほとんどは鏡視下手術となっています。消化器癌手術においても腹腔鏡下手術例が増加してきており、胃癌手術の68.5%、結腸癌手術の90.2%、直腸癌手術の94.4%を占め、最近では肝癌手術にも腹腔鏡下手術(64%)の適応を拡大してきています。

外来化学療法患者実施件数(2022/1~2022/12)

治療実績(外部サイト)

「疾患別 治療実績」(→「Caloo」病気別治療実績

研究業績

研究業績はこちら

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公益社団法人鹿児島共済会 南風病院